父の足跡を追う
やっと腎臓内科医としての仕事も慣れてきた・・・
血液透析の導入もいくらか持ったし,
腹膜透析の導入もやっとこさ持つようになった.
腹膜透析って恥ずかしながら,全然知らなかったんよね.
オレが高校生のときにおふくろがやってたのは覚えている.
でも両親ともに大学受験に専念させようって気を利かせたせいか,
全然話にあがらなかった.
僕が大学に入学したと同時に腹膜炎を発症して,血液透析にシフトした.
その矢先におふくろがヘルペス脳炎にかかって,危篤状態になった.
奇跡的に回復して,いろんな後遺症が残ったが,
今もおふくろは元気に生きている.
親父はおふくろの腹膜透析から血液透析まで一人で支えてきた.
シャントトラブルもたくさんあって.熊本県の大きな病院は制覇しそうなくらいおふくろは入院した.
その重みは腎臓内科医になって,初めて分かる.
透析がなければ,おふくろは死んでいた.
それは事実.
親父の支えがなければ,間違いなく透析はできていない.
僕が医者になれたかも分からない.
でも,おふくろより先に親父が死んでしまった.
それは透析患者さんにはよくあることなんだって.
導入したときに支えてくれた人が皮肉にも透析患者さんより亡くなることは多いらしい.
親父がおふくろに対してやってきたことを僕は追っている.
そして,それを僕は引き継いでいる.
この腎臓内科医という仕事は親父とおふくろが僕に託されたレールのように最近思える.
どんなにきつくても,やめてはいけないと思うこの頃.